第6回 使い方と範囲——6つの信号と、やらないこと
CSIの方法(全7回)
ここまでの4回で、測る理由(第1回)、測り方(第2回)、二層(第3回)、読み方(第4回)、作法(第5回)を開示しました。最終回は、毎月届く数字を実務のどこに繋ぐか——6つの信号と、この計器がやらないこと、そして引用の作法です。
6つの信号——測定結果を、実務の確認事項へ
| 信号 | 何を意味するか | 規程に書ける対応の型 |
|---|---|---|
| ① 水準と区分(0-100・4区分) | いま、どれだけ一つの法域に集中しているか | 区分ごとに在庫月数・調達方針の基準表を対応付ける |
| ② 区分の上げ下げ(遷移↑↓) | 構造が閾値を跨いで変わった | ↑は臨時レビュー招集。↓は改定理由を確認してから見直す |
| ③ 段階別の内訳(原料/中間体/部材) | 鎖のどの段階が弱いか | 弱い段階で対策の型を選ぶ(原料=分散、中間=在庫・代替の認定) |
| ④ 二層(構造スコアと政策の段) | シェアやCSIが穏やかでも、「止められる形」や制度が残っていないか | どちらかが高い物資は、警戒解除・備蓄放出を保留する |
| ⑤ 改定と理由区分(実勢/定義/データ) | 数字を動かした主はどれか | 打った手の効果は「実勢」の変化として確かめる |
| ⑥ ▽(下限表示) | 真の値は表示以上——保守側の測定 | ▽付きを警戒緩和の根拠にしない |
毎月の確認は、実務上は三点で足ります——区分の上げ下げがあったか(②)、構造スコアか政策の段が高い物資はどれか(④)、改定があったか(⑤)。 残りは、動いた物資だけ深く読めば足ります。月報はこの順で読めるように組んであります。
信号の先——リスクマップの「発生可能性」欄、TCFDのシナリオ表、BCPのトリガー条項といった既存の様式のどの欄に、どの信号が入るかは、稿を改めて一本にまとめます(9月公開予定の追補「差込み」)。様式を置き換える話ではなく、根拠の欄が一つ埋まる話です。
やらないこと
個社への適用はしません。 CSIは国単位の数字を扱うものであり、個社の計算は個社の機密数値の上でしか成立しません。
確定値の即時提供はしません。 直近月は速報で、確報化で動くことがあります。動いたら理由付きで開示する(第5回)。即時性と確定性は両立しないため、その両立を謳いません。
投資助言はしません。 本指数は情報提供であり、金融商品の売買推奨を行いません。
引用の作法——引用に耐える数字の四点セット
この数字を社内資料や公開文書で参照する場面のために、表記のルールを固定しておきます。引用の際は次の四点を必ず併記してください。
- 測定点の年月(例: 2026年5月測定点)——数字は測定点に属します。
- ▽の有無——下限表示かどうかで読みが変わります(信号⑥)。
- 出典(グノモン総合研究所・CSI)。
- 参照時点の改定注記——参照後に改定があり得ること(第5回)。
単独の数字を歩かせない。この四点が揃っていない引用は、いずれ文脈から切り離されて誤読の種になります——それは引用した側にとっても、測る側にとっても損失です。なお、外部公開物での引用条件の詳細は法人版の約款で定めています。
出所: 財務省貿易統計(e-Stat・全数データ)ほか公的統計より当研究所算出。 索引: [URL] / 月報(無料版): [URL] / ←第5回 / 第7回「差込み」→
