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第3回 チョークポイント依存度とは何か(後編)——二層評価: 形と、政策の事実

CSIの方法(全7回)

前編(第2回)で、形の項目——構造スコアの作り方——を開示しました。後編は、もう一つの項目と、束ね方。定義は、この回で完結します。まずは、一つの数字から。

中国からの輸入シェア、1%。

2026年5月測定点のアンチモンです。10物資で最も「安全」に見えるこの数字には、正反対の二つの読み方があります。

読み方A: 調達分散が進み、依存が減った。→現状維持でよい。 読み方B: 輸出措置で止められている。→在庫・代替・備蓄の出番。

必要な対応は正反対です。そしてシェアという数字は、AとBを区別できません。今回は、CSIがこの判別のために持っている二層評価の仕組みを開示します。

時系列が答えを教えている

アンチモンには輸出許可制が2024年8月に発表され(施行は同年9月)、同年12月には対米輸出禁止の対象になりました。中国からの輸入シェアの崩落は、その後に起きています。さらに採掘の世界シェアを見ると、中国は36%まで低下(ロシア・タジキスタン等の台頭と統計改訂)——上流は本当に分散が進んだ。しかし酸化物への加工と、輸出許可という蛇口は、依然として一つの法域が握っています。

つまりこの1%は、読み方Bです。「止められる形」は残ったまま、流れだけが消えた。フロー(何が流れたか)の統計は、流れが止まれば静かになる——止まった月にこそ「改善」の値が入る。供給が止まると、シェアの数字は改善に見える。 これが、その実物です。

CSIの中身——二項目の合計

先に、答えの形から。月報のダイヤルに出るCSIは、単一の測定値ではありません——二項目の合計です。点の決まり方は、こうなっています。

形の項目。 得点は、構造スコア——第2回の方法で算出した、0〜100の得点率——に、形の配点を掛けたものです。構造スコアが同じなら、形の点は同じ。ここに裁量はありません。

政策の項目。 得点は、三段の物差しで決まります。目録搭載 < 許可制 < 名指し措置——物資ごとに、いま有効な公告がどの段にあるかを見て、段が高いほど大きな点が入ります。たとえばアンチモンは、2024年8月の許可制導入で「許可制」の段に置かれました(名指し措置は、さらに上の段です)。入力は公告だけ——報道・観測・当方の解釈は入れません。公告で入った点は、公告でしか動かず、措置が解除されれば下がります。各物資の段と、根拠の公告の日付(発表・施行)は毎月のカルテに明記します——読者は、段の割り当てを自分で照合できます。 公告は即日の事実で、貿易統計は翌月の公表を待ちます——措置の月にCSIが動けるのは、この項目があるからです。

CSI。 二項目の合計です。二つの項目は、同じ一本の物差しの上にあります——政策の段の点は、その制度の顕在化が、形の集中でいえばどれほどの止まりやすさに相当するか、という換算で置かれています。したがって、次回・第4回で定める境界(40・60・80)の目安——形の言葉で置かれます——は、CSIにもそのまま効きます。境界が測っているのは止まりやすさの水準であり、形は、その参照の言葉です。配点は形が最大で、この順序は固定・公開。段ごと・項目ごとの係数は設計判断として公開しません——非公開であること自体を、ここに開示します。

そもそも、性質の違う二つを、一つの数字に束ねてよいのか——束ねない場合を考えます。形と政策、二つの数字が毎月・物資ごとに並ぶだけなら、それをどう組み合わせて警戒水準に落とすかは、読む人ごと・その月ごとの裁量になります。CSIは、その組み合わせ規則を、事前に・公開で・一本に固定したものです——束ねて、成分を捨てるのではありません。成分(構造スコアと政策の段)は毎月そのまま開示され、警戒を緩めるかどうかの規範は、成分の側で立ちます(第4回の規程文例で)。そして、この既定の束ね方に縛られる必要もありません——成分は全公開なので、別の重みで束ねたい読者は、束ねられます。既定の一本が要る理由は、次回の境界の既定線と同じです。規程に書き、組織の間で同じ言葉を話し、後から検証するため。

名前も、この二本立てを指しています。チョークポイント——流れを止め得る点——は、二つの形で現れます。工程の細さとして(無水フッ酸の95%)、そして許可の蛇口として(アンチモンの輸出許可)。どちらも、一つの判断で止まる点です。チョークポイント依存度が二項目の合成なのは、止め得る点が、形と制度の二種類あるからです。

実例で見る——二層が割れる、二つの型

アンチモン(2026年5月測定点): 構造スコア20.3——10物資で最低、最も安全に見える。CSIは52.1・集中。差を作っているのは政策項です。許可の蛇口は一つの法域にあり、「止められる形」は消えていない。下がった数字を、政策の事実が支えるのを止める——これが、二層が割れる第一の型です。

同じ「形が低く、段が高い」でも、来歴は二通りあります——措置が形を潰した場合(このアンチモン)と、もともと分散していた物資に措置が乗った場合。カルテの時系列が、これを分けます。前者には、公告の後に形が崩れた履歴が残る。後者は、公告の前後で形が低いまま、フローも続いている。

フッ素(同): 構造スコア85.5——シェアの実測だけなら隘路級。CSIは71.6・逼迫。こちらは逆で、政策の事実がまだ静かな物資です。事件が無いから報道もない。しかし構造は、原料(蛍石57%)の分散が進んでもなお、中間体(無水フッ酸95%)の寡占が全体を規定している(第2回の合成則)。静かな逼迫を、構造の実測が可視化する——第二の型です。

これで、第2回に始まった問い——チョークポイント依存度とは何か——への回答が完結します。形の項目が前編(第2回)、政策の事実の項目と束ね方が後編(本回)。


出所: 財務省貿易統計(e-Stat・全数データ)、中国商務部・海関総署公告(公開情報)、USGS等より当研究所算出。数値はすべて2026年5月測定点。 索引: [URL] / 月報(無料版): [URL] / ←第2回 / 次回→ 第4回「4区分と遷移」


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